外国為替の相場予測

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「DVD 外国為替の相場予測」

テキストより

◆外国為替相場の変動要因

13)マサチューセッツ・アベニュー・モデ

金融政策と通貨政策の関係

MAMのボリシー・ミックス

ポリシー・ミックスの表中のケース5、6、7、8は、持続不可能な政策である。金利と為替レートが密接に結びついているため、金触政策と通貨政策の相反するようなポリシー・ミックスは持続不可能となるのである。他の事情が等しければ、低金利政策は自国通貨安圧力となり、反対に高金利政策は通貨高圧力となる。実際に金融緩和と通貨安政策、もしくは金融引き締めと通貨安政策の組み合わせが一時的にあり得たとしても、マーケットの中長期の為替レートに関する期待を変更することができなければ、持続不可能である。例えば、自国通貨を上昇させるため、もしくは自国通貨の下落を避けるために、自国通貨買いの介入を通貨当局が行う。この場合、金融政策の変更(金融引き締め)が担保されているかどうかが非常に重要となる。このような裏付けがなければ、スピード調整にはなっても(もちろん、マーケットのスピード調整も通貨当局にとっては重要であるが)、為替の流れを変える効果は薄弱である。

金融政策と通貨政策の方向が整合的でなければ、技術的にも行き詰まる。不胎化の間題である。つまり、自国通貨買い介入は、マーケットから自国通貨資金を吸収することで、金融市場には金融引き締めと同様の効果がある。国内で金融緩和の必要性があれば、吸収した資金を再びマーケットに放出しなければならない。これを不胎化と言うが、不胎化操作を行うと、自国通貨引き上げの効果が半減する。一方で不胎化を行わなければ、信用の縮小で景気に縮小圧カがかかる(不胎化政策の反対は胎化政策ではなく、非不胎化政策という)。通貨買い政策は、少なくとも金融緩和が必要な状況下では困難である。本来、利上げをしてもおかしくないような経済環境でなければ実効性に乏しいものとなる。金融政策と通貨政策が相反する場合、どちらかの政策が間違っている可能性が高い(と思われる)。そして、金融政策、通貨政策のそれぞれが、経済ファンダメンタルズからかけ離れた政策は持続不可能である。景気低迷時の金融引き締め策や通貨高政策が持続不可能であることは明らかであろう。

前述したように、MAMにおいては為替レートと経常収支の困果閣係は、為替レートから経常収支である。逆ではない。経常収支が為督レートに影響を与える経路もあるが、経常収支がフローとしてではなく、ストックとして為替レートに影響を与えるため、インパクトはかなり小さい。経常黒字が円高の原因となるが、これは経済要因というよりも政治的要困である。


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▼ 林康史プロフィール

林 康史(はやし・やすし)

立正大学経済学部教授/法学修士。

主な担当分野

【学部】金融論、国際金融論、証券論、中国金融。

【大学院】金融特論、金融特殊研究。

 

大阪生まれ。大阪大学法学部卒。法学修士(東京大学)。クボタ、住友生命保険、大和証券投資信託、あおぞら銀行(職務経験は、輸出営業、原価管理、為替ディーラー、エコノミスト、ストラテジスト等)を経て、2005年から現職。華東師範大学(客員教授)、一橋大学(非常勤講師)、日本学生支援機構 機関保証制度検証委員会(委員長)等。その他、評論活動等。

 

主な著書・訳書
『株式投資 第4版』『基礎から学ぶデイトレード』(監訳)『マネーの公理』(監訳)以上、日経BP社、『決定版 株価・為替が読めるチャート分析』『ジム・ロジャーズ中国の時代』(共訳)『人生と投資で成功するために娘に贈る12の言葉』(監訳)『欲望と幻想のドル』(監訳)以上、日本経済新聞出版社、『欲望と幻想の市場』(訳)『相場のこころ』(訳)以上、東洋経済新報社、他。DVDに、『テクニカル分析を極める短期集中講座』(全4巻=8本)『相場で勝つための心理学』『解説!デイトレード 第1巻』『BS―JAPAN 相場の心理学(上・下)』、他。

 

現在の研究テーマ

(1)金融システム・金融法

(2)マーケットストラクチャー・価格形成メカニズム

(3)行動ファイナンス

(4)パーソナルファイナンス

(5)金融教育

(6)ドル化

(7)貨幣論・地域通貨

(8)マイクロファイナンス

(9)商品論

(10)石橋湛山

 

主な研究実績
(1)共著(木下直俊・林康史)

「“ドル化”国の中央銀行の役割と政策」全国銀行協会『金融』(第800号)2013年11月

(2)共著(林康史・木下直俊)

「ドル化政策実施国における金融政策―エクアドル・エルサルバドル・パナマの事例―」『経済学季報』(第64巻第1号)2014年7月

(3)共著(林康史・歌代哲也・木下直俊)

「エクアドル・エルサルバドルの補完通貨UDIS」『経済学季報』(第64巻第2・3号)2015年1月

(4)共著(林康史・劉振楠)

「グラミン銀行とマイクロファイナンスのコンセプト―奨学金制度のビジョン再検討のために―」『経済学季報』(第64巻第4号)2015年3月

(5)共著(畠山久志・林康史・歌代哲也)

「外国為替証拠金取引規制―わが国におけるFX取引の沿革と現状―」『経済学季報』(第65巻第1、2、3・4号)2015年8月、11月、2016年3月

(6)単著

「貨幣とは何か」『貨幣と通貨の法文化』第11章、国際書院 2016年9月

(7)共著(潘福平・林康史)

「人民元の為替相場制度の変遷」『21世紀資本主義世界のフロンティア』第5章、立正大学経済研究所研究叢書31巻 2017年3月

(8)単著

「経営とガバナンスから見た食の安全―日本・中国・韓国の比較―」『経済学季報』(第67巻第2・3号)2017年12月

(9)共著(木下直俊・林康史)

「オデブレヒト汚職事件と中南米諸国への影響」『経済学季報』(第67巻第4号)2017年3月

(10)共著(歌代哲也・林康史)「ベネズエラの共有通貨Panal」『経済学季報』(第67巻第4号)2017年3月

 

所属学会

日本金融学会、金融法学会、法と経済学会、法文化学会、行動経済学会、FP学会