DVD 行動経済学の投資戦略

ノーベル経済学賞から学ぶ

人は不確実性下では合理的な判断をするとは限らない。すべての利用可能な情報は瞬時に価格に織り込まれる「効率的市場仮説」に対しては、行動ファイナンスの立場から反論が提示されている。

ノーベル経済学賞を受賞したカーネマンの理論を読み解き、価格変動の理解・予測、投資戦略に有効な「行動経済学」を解説します。

講師 収録時間 価格
(税込)
三隅隆司
林 康史
160分 17,000円

解説内容 

三隅 隆司(120分)

標準的経済学 vs. 行動経済学

簡便法/プロスペクト理論/心理的勘定

行動ファイナンス

認知的不協和の理論

 

林 康史(40分)

実践的立場から

…価格形成と市場アノマリー

 

▼ 行動経済学と証券投資

容易に理解されるように、金融現象は、人間の心理的要因を受けやすい。したがって、人間心理を考慮した行動経済学は、金融現象の解明に有効であると考えられる。事実、行動経済学的な観点から金融の問題を考えようとする傾向は一つの流れを形成しており、「行動ファイナンス(BehavioralFinance)」とよばれている。以下では、行動ファイナンスについて簡単に紹介しよう。
 ファイナンス研究者の多くが長年にわたって真理であると教え込まれ、またそう信じている法則は「効率的市場仮説」である。これは、合理的な市場参加者によって構成される市場においては、少しでも利益の存在が期待されるときには誰かが必ずそのような利益を獲得しようとして取引を行うはずであり(そのような行動をとらない経済主体は市場の働きによって市場からの退出を余儀なくされてしまう)、どのような情報も瞬時に価格に織り込まれるはずである、というものである。この仮説に立脚し、ファイナンス研究者の多くは、金融資産への投資によって超過利潤を獲得することは不可能であると考えている(「資本市場には裁定機会は存在しえない」という形で表現されることもある)。この考えはファイナンス理論の基本ともいうべきものであり、資産価格形成理論の多くはこの考えに基づいている。

この「効率的市場仮説」に対しては、行動ファイナンスの立場から反論が提示されている。以下では、重要な研究結果をいくつか紹介しよう。

(1) 逆張り戦略の有効性

 過去の株式収益率を利用してマーケットに勝つ超過収益を獲得しようとする投資戦略として長年にわたって採用されてきたものは逆張り戦略(コントラリアン戦略)である。これは、他の多くの市場参加者とは反対の投資行動をとることを意味しており、具体的には価格が低下している(多くの市場参加者が売却している)証券を購入し、価格が上昇している(多くの市場参加者が購入している)証券を売却するという行為をさしている。

 逆張り戦略によって超過収益が獲得可能であることをアカデミックスの領域で説得的な形で初めて考察した画期的研究は、デボン(DeBondt,W.) とセイラー(Thaler, R.)が1985年にファイナンスの学会誌『ジャーナル・オブ・ファイナンス(Journal of Finance)』に発表した論文「株式市場は過剰反応しているのか?(Doesthe Stock Market Overreact?)」である。・・・・

 

 

▼ 林康史プロフィール

林 康史(はやし・やすし)

立正大学経済学部教授/法学修士。

主な担当分野

【学部】金融論、国際金融論、証券論、中国金融。

【大学院】金融特論、金融特殊研究。

 

大阪生まれ。大阪大学法学部卒。法学修士(東京大学)。クボタ、住友生命保険、大和証券投資信託、あおぞら銀行(職務経験は、輸出営業、原価管理、為替ディーラー、エコノミスト、ストラテジスト等)を経て、2005年から現職。華東師範大学(客員教授)、一橋大学(非常勤講師)、日本学生支援機構 機関保証制度検証委員会(委員長)等。その他、評論活動等。

 

主な著書・訳書
『株式投資 第4版』『基礎から学ぶデイトレード』(監訳)『マネーの公理』(監訳)以上、日経BP社、『決定版 株価・為替が読めるチャート分析』『ジム・ロジャーズ中国の時代』(共訳)『人生と投資で成功するために娘に贈る12の言葉』(監訳)『欲望と幻想のドル』(監訳)以上、日本経済新聞出版社、『欲望と幻想の市場』(訳)『相場のこころ』(訳)以上、東洋経済新報社、他。DVDに、『テクニカル分析を極める短期集中講座』(全4巻=8本)『相場で勝つための心理学』『解説!デイトレード 第1巻』『BS―JAPAN 相場の心理学(上・下)』、他。

 

現在の研究テーマ

(1)金融システム・金融法

(2)マーケットストラクチャー・価格形成メカニズム

(3)行動ファイナンス

(4)パーソナルファイナンス

(5)金融教育

(6)ドル化

(7)貨幣論・地域通貨

(8)マイクロファイナンス

(9)商品論

(10)石橋湛山

 

主な研究実績
(1)共著(木下直俊・林康史)

「“ドル化”国の中央銀行の役割と政策」全国銀行協会『金融』(第800号)2013年11月

(2)共著(林康史・木下直俊)

「ドル化政策実施国における金融政策―エクアドル・エルサルバドル・パナマの事例―」『経済学季報』(第64巻第1号)2014年7月

(3)共著(林康史・歌代哲也・木下直俊)

「エクアドル・エルサルバドルの補完通貨UDIS」『経済学季報』(第64巻第2・3号)2015年1月

(4)共著(林康史・劉振楠)

「グラミン銀行とマイクロファイナンスのコンセプト―奨学金制度のビジョン再検討のために―」『経済学季報』(第64巻第4号)2015年3月

(5)共著(畠山久志・林康史・歌代哲也)

「外国為替証拠金取引規制―わが国におけるFX取引の沿革と現状―」『経済学季報』(第65巻第1、2、3・4号)2015年8月、11月、2016年3月

(6)単著

「貨幣とは何か」『貨幣と通貨の法文化』第11章、国際書院 2016年9月

(7)共著(潘福平・林康史)

「人民元の為替相場制度の変遷」『21世紀資本主義世界のフロンティア』第5章、立正大学経済研究所研究叢書31巻 2017年3月

(8)単著

「経営とガバナンスから見た食の安全―日本・中国・韓国の比較―」『経済学季報』(第67巻第2・3号)2017年12月

(9)共著(木下直俊・林康史)

「オデブレヒト汚職事件と中南米諸国への影響」『経済学季報』(第67巻第4号)2017年3月

(10)共著(歌代哲也・林康史)「ベネズエラの共有通貨Panal」『経済学季報』(第67巻第4号)2017年3月

 

所属学会

日本金融学会、金融法学会、法と経済学会、法文化学会、行動経済学会、FP学会

▼ 三隅 隆司プロフィール

三隅 隆司(みすみ・たかし) 

一橋大学商学部教授。1990年 に一橋大学大学院商学研究科博士後期課程を単位取得退学し、一橋大学商学部専任講師・助教授を経て、2004年より現職にある。その間、1998年から1999年にかけ、ミシガン大学ビジネススクールにおいて在外研究を行った。最近の研究上の関心は、行動経済学の観点から、金融システムの機能および制度設計を考察することにある。より具体的には、(1) 株式市場のアノマリー、(2) 銀行・企業間の金融契約、(3) 金融規制,が有する合理性・非合理性を、経済主体の行動バイアスとの関連において理論的・実証的に考察することに関心を有している。