トレンド判定法

短期トレーダーに役に立つ実践的なトレンド判定法

トレンドラインインディケーター

計算式・トレードタイミング

トレンドライン・インディケーターとはW.D.ギャンが開発した、リバモアのスウィング・チャート(週足を主なタイムフレームとする)の概念に基づく短期トレンド判定法である。

基本はバーチャート上に記すもので、反転の基準は前日のレンジを突破することである。従って、前日のレンジを突破していない場合(つまりインサイドディ)は、トレンドライン・インディケーターは動かない。逆に高値・安値共に突破した場合(アウトサイドディ)はどちらが先に突破したかでラインの方向が変わってしまうため、実際には日中の値動きを知っておく必要がある。

短期の上昇トレンド継続は前日の高値・安値と比較して高値・安値共に切り上がっている状態であり、短期下降トレンドとは前日の高値・安値が共に、切り下がっている状態である。

中期的な上昇トレンドとは、トレンドライン・インディケーターのボトムとトップが共に切り上がっている状態であり、下降トレンドとは、トレンドライン・インディケーターのトップとボトムが共に切り下がっている状態である。

aのバーとbのバーを比較すると、bは安値・高値共に切り上がっている。

トレンドライン・インディケーターは上昇する。

 

aとbを比較すると、高値・安値共に切り下がっている。

トレンドライン・インディケーターは下降する。

 

IDではトレンドライン・インディケーターは動かない。

 

逆にOD(アウトサイドディ)では、安値・高値のどちらが先に突破したのかが重要となる。上記の例では安値が先に突破され、その後高値が突破されたので、トレンドライン・インディケーターは、まず下降し、次に上昇する。

 

上昇トレンドでは前日の安値が突破されない限り高値と高値を結び、下降トレンドでは前日の高値が突破されない限り、安値と安値を結ぶ。短期的には線が高値から高値を結んでいる間は上昇トレンドであり、安値と安値を結んでいる場合は下降トレンドである。矢印(→)でトレンドライン・インディケーターが転換した日を指したが、かなり頻繁に線の方向が変わっていることが判る。

ギャンは建玉を短期・中期・長期のマルチタイムフレームで行い、その操作もジョージ・ダグラス・テイラー同様難解であったが、少なくとも短期建玉の殆どはトレンドライン・インディケーターで行っていたようだ。基本的にギャンは建玉法としてトレンドライン・インディケーターを強く推奨していたのも間違いない。

ただし、現在の相場でトレンドライン・インディケーターの線の方向のみでトレードするのは危険である。トレンドライン・インディケーターをトレンドの方向性を見極めるために使うのであれば、線の方向(あまりに短気に頻繁に変わる)よりも、インディケーターのボトム・トップが切り上がっているか(上昇トレンド)、切り下がっているか(ダウントレンド)、それとも上下共に直前のトップ・ボトムを抜けていないか(レンジ収縮)判定することが重要である。

切り上がっていれば、上昇トレンドは継続しているのであり、切り下がっていれば下降トレンドは継続している。一方、上下共に直前のトップボトムを抜けていなければ、レンジ収縮の状況であり、短期トレーダーにとってはブレイクアウト戦略のチャンスである。

 

トレンドライン・インディケーターでは、最初のトップ、最初のボトムとも次のトップ、ボトムで切り上がっている。さらにトップ・ボトム共に前回のトップ・ボトムを抜けないレンジ収縮(○で囲んだ部分)が起こり、上方にブレイクアウトしている(図のBO)。

BOの前日はID/NR4かつNR7であり、BOのバーはTD TRAPかつ6日間のレンジブレイクアウトであったが、トレンドライン・インディケーターを利用することで、デイリーバーチャート(日足)のブレイクアウト戦略にいまひとつ厚みと確信を持つことが出来た。さらにその後の展開をみれば切り上がった高値と安値を形成し、上昇トレンドの継続を確信できた。


マーケットストラクチャートレンドリバーサル(TD ポイント)

計算式・トレードタイミング

マーケットストラクチャートレンドリバーサルは、ヘンリー・ウィーラー・チェイスによって研究された。トレンドライン・インディケーターがあくまでも前日の高値・安値との比較において作成されるのに対して、マーケットストラクチャートレンドリバーサル(またはTDポイント)は「取り囲まれた高値と安値」が必要である。観察には3日間のバーチャート、すなわち3日目の引け時点でマーケットストラクチャートレンドリバーサルが決定する。

① 短期の高値とは「両側により低い高値」がある日

② 単位の高値とは「両側により高い安値」がある日

として定義される。

トレンドライン・インディケーター同様、OD(アウトサイドディ)の場合かつ両側により低い高値とより低い安値がある場合においては、先に高値あるいは安値をつけたか知っておく必要がある。

また、連続して一方方向にTDポイントが連続する場合、便宜的にその間にある反対方向の安値・高値を利用する(小勢の安値の次にまた小勢の安値が来ることがある。この時はその間にある最高値を便宜上、小勢の高値とみなすことにする)。

 

疑問に感じているのは、○で囲んだリバーサルポイントである。実は、最初の○で囲んだマーケットストラクチャートレンドリバーサルは殆ど意味がない。

この日はID(インサイドディ)であり、IDとはブレイクアウト戦略上非常に重要であるが「短期の変動ポイントを識別するという目的のためには、インサイドディとそれによって引き起こされる可能性のある短期の変動ポイントは単に無視した方が良いだろう」「インサイドディはマーケットが保合に入ったと言うことであり、現在の変動では次の段階に進みもしないし、…反転もしないということを意味している。このとき私たちは待たねばならず、識別するものとしてインサイドディを使ってはならない」(ラリー・ウィリアムズの短期売買法)。

ラリー・ウィリアムズはIDを明らかにマーケットストラクチャートレンドリバーサルのポイントとしてはいけない、といっているのであり、便宜上とはいえIDをリバーサルポイントとしているラリー・ウィリアムズのチャートはない。

同じチャートで連続する小勢の高値、連続する小勢の安値をリバーサルポイントとせず引いてみると、かなりシンプルなチャートになった。実際、トレーダーは考えなくてはならいことが多く(建玉のサイズ・損益・オーダー・資金管理等々)、なるべくシンプルにしておきたいのである。

その意味では

1) インサイドディとなる日の高値・安値ではリバースさせない。

2) 連続する小勢の高値・安値でもリバーサルさせない。ただし、「取り囲まれた高値・安値」であることは事実であるから、マークをしておく。

といったところが、妥当な利用法と考える。ただし、一定のルールでいつも引くべきでインディケーター同様、引き方を途中で変えるようなことをしてはならない。


中長期トレンドの判定とマルチタイムフレーム

計算式・トレードタイミング

マーケットストラクチャートレンドリバーサルを拡大して中長期トレンドを判定する方法。

両側短期の安値より低い安値でも、連続する場合には反転させずに書くと非常にシンプルなチャートになった。ラリー・ウィリアムズはいくつもの多くのシステムと方法論を考えついて同じ数位放棄してきたが、最終的に最も信頼に足る、としたのがこのマーケットストラクチャートレンドリバーサル。基本的にはトレンドのある相場でブレイクアウト戦略を採用して生き延びてきた。トレンド転換を事前に察知するのは非常に困難であるし、短期トレーダーはする必要すらない。だが、トレンドがいったん転換したと判定する際に、最もシンプルで信頼に足るのは、マーケットストラクチャートレンドリバーサルか、トレンドライン・インディケーターであろう。

 

中長期トレンド判定法としてマルチタイムフレームを利用する。

(週足)10月第2週に9月のトップを抜けてトレンド転換を示唆し、10月により高い安値、11月第1週に10月の最高値を抜けて完全な上昇トレンドを確認した。11月高値、安値、2000年1月高値、安値共に切り上がっており、順調な上昇トレンドであったことが判る。

 

(月足)98年10月までは完全なダウントレンド、11月、1月とレンジ収縮(直前の高値・安値共に抜けない)が起こり、3月15320のブレイクアウトで長期トレンドが反転したことがよく判る。この時点で、月足上でもより高い高値とより高い安値を形成することが確定したからである。マーケットストラクチャートレンドリバーサル上は非常に単純に上昇トレンドであったのだ。

 

なにを利用するか

トレンドライン・インディケーター(またはスウィングチャート)、マーケットストラクチャートレンドリバーサルに定義上の違いはあっても、実用上は殆ど同じラインを描く。どちらでも使いやすい方法を選んで良い(なお、90年代以降はマーケットストラクチャートレンドリバーサルの方が流行ではある)。短期(または小勢)のトレンドから、中期長期(中勢・大勢)のトレンドに引き直す方法は一つのチャートしかみたくないのならばラリー・ウィリアムズの方法が最も適している。

なるべく一枚のチャートをゴチャゴチャにしたくないのならば、週足・月足でマーケットストラクチャートレンドリバーサルを作った方がよい。ディトレーダーは15分足、時間足、日足でマーケットストラクチャートレンドリバーサルを作ってみることを推奨する。トレンド判定に迷ったとき、ストップの水準、本質的なサポートという意味ではマーケットストラクチャートレンドリバーサルに勝るものはない。


上記掲載内容はプレミアムMAX 金融レポートで連載した「新トレーディング手法解説バージョン(2012年9/17号~2018年1/30号)」から抜粋、テーマ別にわかりやすく編集しています。