ギャン・リトレースメント理論

トレードシステムと50%戻しの活用

計算式・トレードタイミング

過去N日間のレンジを利用したトレンド・システム

買いの場合

① 過去N日間の最高値をXとする。

② 過去N日間の最安値をYとする。

③ 過去N日間の最高値Xは過去N日間の最安値Yより時間的に後である。

④ 今日の終値はXより高い。

⑤ 明日の寄付で買い。

利食い及びロスカットは(N/2)または(N/3)期間の最安値をザラバで更新した時。

売りの場合

① 過去N日間の最高値をXとする。

② 過去N日間の最安値をYとする。

③ 過去N日間の最高値Xは過去N日間の最安値Yより時間的に前である。

④ 今日の終値はYより安い。

⑤ 明日の寄付で売り。

利食いおよびロスカットは(N/2)または(N/3)期間の最高値をザラバで更新した時。

典型的なトレードシステムであるが、「トレンド判断」を入れているところが新しい。つまり、過去N日間の最高値が時間的に最安値よりあとに来るということは、上昇トレンドであるということをデジタルに判断するわけで、その場合買いしかしない。また、過去N日間の最安値が最高値よりあとに来るということはダウントレンドであると判断するので、その場合は売りしかしない。

利食い・損切りはシンプルに2または3分のN日を使っている。

Nは通常20日や50日を使うケースが多いが、個人的には十分な長さが必要であり、場合によっては60~90日のほうがミスが少ない。十分な長さのサイクルを包含する必要があることからも長めがいい。

トレンドが継続するとき(連続してレンジをブレイクする場合)は、どんどんと建玉ができてしまうので、一定水準まで連続して建玉を行った場合はストップをかける必要がある。

このシステムの利食い・損切りにトレンドの逆行を測るのに都合の良いTR(True Range)を使うのもいいだろう。利益の出た翌日以降はTRの逆行で利食い(または損切り)を行うなどを使うとさらにタートルズ的になるといえるかもしれない。

具体例

実際に相場がうまく行った時には「増し玉」あるいは「乗せ」の技術が非常に大切。

ではトレンドの場合の増し玉はどうするのが良いのか。

この「増し玉」の方法としては、(1) ピラミッディング(2)逆ピラミッディングという2つの戦略が一般的とされる。どちらも利益幅が上昇する過程でポジションを増やしていく戦略であるが「増し玉」のポジショニングに大きな違いがある。あくまでも利が乗った状況でのポジションの追加であることに注意したい。

(1)のピラミッディングは、最初に大きなポシションを取るが、追加のポジションは小さくしていく。新規のポジションは次第に小さなっていく。玉の形がピラミッドのようになるのでピラミッティングと呼ばれる。例えば最初に3を建ててどんどん減らしていく。3-2-1-1というような建て方であり、コストは当然に最初の3に加重されていく。

(2)の逆ピラミッディングでは、「増し玉」を次第に大きくしていく。1-2-3-4というような形になると思えば良い。この場合、時間的に後になればなるほど玉が大きいので、コストは常に最新のポジションに引っ張られていく。

(1)のピラミッディングでは、相場が思惑どおりとなった場合には逆ピラミッディングより利益は少なくなるが、相場が反転した場合にも利益を確保できる。

(2)の逆ピラミッディングは、思惑どおりの相場では大きな利益を積み上げることができるが、相場の反転(転換)では一気に利益を吐き出すので、「リスクコントロール」が最も重要な相場では禁じ手の一つとされる。

実はもうひとつの方法があり(3)ダイヤモンド・フォーメーションという戦略である。

これは最初と次の建玉の間は逆ピラミディングであり、次の段階からはピラミディングしていく方法である。例えば、最初のトレンドのリバースするリスクの大きい初期ブレイクアウトでは単位1で仕掛け、トレンドが確実になったと想定した二番目に単位3で仕掛け、次からは再び2-1と減らしていく形となる。

玉としては1-3-2-1と建てていくような形となる。技術があるとこの方法が一番良いように感じるのであるが、実際に玉を変化させるタイミング次第では簡単に逆ピラミディングになってしまうので、運用が難しい。

実際には単純に同じ単位を積み重ねる1-1-1-1のようなフォーメーションでも、そのタイミングでは損益は極端に違っており、また同じルールが相場に通用するわけでもないのが実態である。

実際ほとんどどの相場にも通用するピラミディング戦略も乗せ戦略もないというのが実情に近いと感じる。唯一、タートルズが比較的有効であるとされてきたが、タートルズ戦略についてもシステム的な裏付けがあったとは言いがたい。唯一単純な方法として、1単位をルール通り限界まで建ててローリングしていく方法が良いと感じている。

レンジ相場の特徴

過去多くのレンジ相場、あるいはレンジ相場の戦略を利用した方法が儲けを得ることができなかった。ではなぜトレンド戦略が成功して、レンジ戦略が儲からないのか。

マーケットを分析すると以下のようなことが一般に言われる。

① レンジ期間はマーケット全体の75~80%と殆どを占める。

② トレンド期間はマーケット全体の20~25%であるが、価格変動の80%を占める。

つまり、レンジ相場とは「期間的には長いが価格変動は小さい」ということになる。レンジ相場とそのトレード戦略の悲劇はほぼここに集中する。つまりレンジ戦略とは以下のようにならざるをえない。

① トレンドに比較してレンジは値幅が小さい。

② レンジの上限・下限で逆バリしないと利益が出ない。

③ レンジ期間の殆どで利益が出る=時間的に居心地の良い期間が長いので、一旦トレンドがスタートした場合、短い時間で大幅な損失を出してしまう。

ということである。

逆に言えばトレンド戦略とは上記の正反対である。

① レンジ戦略に対して値幅は大きい。つまり一単位での利益率が大きい。

② 一方、レンジ上下限で突破を前提とした戦略をとるため、高値買い・安値売りとなり、コストが高い。

③ レンジ期間の殆どでロスを出す=時間的に辛い時間が長いため、トレンド相場がスタートした時点で、もはや十分な資金がない。

ということになる。

つまり、トレンド戦略は「長く続くレンジ相場での損失マネージメント&メンタルマネジメントが大切」であり、レンジ戦略は「トレンド相場が始まった時のロスマネジメントとメンタルの切り替え(これもある意味ではメンタルマネジメント)」が大切となる。その意味で、レンジ戦略とは多くの期間で利益の出る方法であるが、トレンドは発生した場合のリスクマネジメントが何よりも大切となる。

レンジ相場とは何か

実はレンジ相場を定義するよりも、トレンド相場=20%程度の時間帯を占める異常な相場の状況を定義したほうが良い。逆を言えば、それ以外は全てレンジ相場である、とみなす。上昇トレンドとは以下のように定義できる。

① 過去N期間の高値を連続して更新する。

② 過去N期間の安値は連続して上昇している。

だが、実際にはトレンド相場においても、常に高値を更新するとは限らない。また、N期間の安値を一時的に割り込んでもトレンドが継続する可能性がある。そのため、②の条件は無くしたほうが良い、との指摘も多い。

すると以下の要件のほうが妥当であるといえる。

①過去N期間の高値を(N-m)期間以内に更新している。

②過去N期間の安値は割り込んでいない。

mは実際には3~20の間になるだろうが、実際には3~10くらいが妥当だろう。実際過去の高値を10期間も更新しない状態はすでにトレンドではない可能性が高いからである。②は当然必要な条件で、上昇トレンド期間において過去N期間の安値を抜けているようではレンジ相場である、といえるからだ。

<上昇トレンド相場の実例>

 

一方、下降トレンドとは以下のように定義できる。

① 過去N期間の安値を連続して更新する。

② 過去N期間の高値は連続して下降している。

上昇トレンド同様、実際には下降トレンド相場においても、常に安値を更新するとは限らない。またN期間の高値を一時的にブレイクしてもトレンドが継続する可能性がある。そのため、②の条件は無くしたほうが良い。すると以下の要件のほうが妥当である。

①過去N期間の安値を(N-m)期間以内に更新している。

②過去N期間の高値は更新していない。

mは実際には3~20の間になるだろうが、実際に3~15くらいが妥当だろう。ここで上昇よりも下降のほうが更新期間を長めにとっているが、それは下落トレンドのほうが上昇よりも更新される可能性が低いからである。特に、金などの商品相場や株式相場などに顕著であるが、その理由は相場において上昇は非理性的なことで続くか、下落は一定以上になると「本源的価値」に近づくことがあるので、更新しづらくなるのである。それでも実際過去の安値を15期間も更新しない状態はすでにトレンドではない可能性が高いからである。②は当然必要な条件で、上昇トレンド期間において過去N期間の高値を抜けているようではレンジ相場である、といえるからだ。

<下降トレンド相場の実例>

こうして考えると、連続する高値の更新である上昇トレンドは定義しやすく、また実際に利益が出やすいといえるが、特に商品相場、株式相場、為替においても安値に硬直性が政策的に与えられやすいドル円相場においては「下降トレンドに乗る戦略」は難しく、またレンジ相場においても「長い安値更新が起こらない=レンジ相場」である、とはいえないことに留意したい。

逆を言えば、ドル円相場と株式市場においては、下落相場は人為的に弱く、また操作されやすいといえる。レンジ相場であっても、実際には下落を人為的に押さえ込んでいるだけである可能性がある。

レンジ相場システムの構築においては、こうした下降相場におけるダウントレンド戦略をとることの難しさを十分に知っておく必要が有る。


上記掲載内容はプレミアムMAX 金融レポートで連載した「新トレーディング手法解説バージョン(2012年9/17号~2018年1/30号)」から抜粋、テーマ別にわかりやすく編集しています。